ながおか森林塾 2014年

一日目 2014.05.31

なんと!今年の受講生は10人。
スタッフ一同気を引き締めて、少しビビリ気味に開講です。

今日の講座内容は
チェーンソーに慣れよう ---- 各部の名称から役割などと丸太の玉切りをします。
伐倒の基礎 ---------------- 受け口の作り方。
森林の現況調査 ------------ 今どんな状況なのか、現状を調べます。
施業方針の策定 ------------ 集めたデータを基にこれからの方針を決めます。


9時00分 開講 オリエンテーション ― まずは自己紹介など
応募の動機など簡単な自己紹介のあと、早速講座のスタートです。
9時20分 チェーンソーに慣れよう ― 各部の名称や役割から丸太の玉切りへ
チェーンソーにはケガ防止のための安全装置がいくつか付いています。
ソーチェーンが切れたときにチェーンを受け止めるチェーンキャッチャー、エンジンの振動を和らげる防振スプリングなどがありますが、その代表格としてキックバックが起きたときにソーチェーンの回転を瞬時に止めるチェーンブレーキがあります。
しかし、チェーンブレーキを作動させるためには瞬間的に手首を曲げる動作が必要で、慣れない初心者には難しいと思います。安全装置があるとはいえ、過信は禁物です。
チェーンソーの重さを軽くするには手だけで持つのではなく、両腕の脇を閉め、体にも重さを分担してもらいましょう。

チェーンソーは木に押し付けるとかえって切れません。
フルスロットルのアクセルとチェーンソーの重さだけで十分です。
初めてのエンジン始動。音と振動。如何でしたか?
始動で振動!ツマラン冗談でした。
10時00分 伐倒の説明と受け口作りの練習 ― 丸太を立てて、水平切りと斜め切りを合わせる練習。
立ち木を倒すということは、引力に逆らって立っていようとする力を弱めてやること。それには幹を細く弱くすれば良い。
どの方向へ倒れるかは、受け口の水平切りと斜め切りの合わさったライン(会合線)の直角方向です。ただし、会合線は水平である必要があります。
「追い口を切る」とは、まさに「ツルを作る」作業です。
ツルは木が倒れるときの蝶番の役目をします。
会合線が水平かつその直角方向が狙った方向を向き、ツルの左右の強さが同じになったとき初めて狙った方向へ倒れます。

まずは、受け口の会合線をしっかりと作る練習からはじめます。
「受け口、追い口、ツルの基本図」はこちら
11時00分 現況調査 ― 現在の状況を知るため調査項目・方法の説明と実践。
手術の前には診断が必要。現在の状況を知るためには、単位面積あたりの本数、樹高、樹齢(林齢)が判ればOK。
すなわち、森林の管理・手入れをするということは密度を管理するということ。

杉などの人工林は、もともと適期に間伐等の手入れをすることを前提に植林されています。
植林されたまま手入れをされずに放置された森林は大重態(超過密)の状態です。都会の満員電車が気持ちの良いわけがありません。変な趣味の人は別ですが。
   ・10m四方の調査プロットを作ります。
・この100uの中にある本数を数えます。
・ついでに直径巻尺を使って胸高直径を測ります。密度管理には使いませんが、材積の計算などをするときに必要です。
・樹高が上層にあり、いずれ切り倒すであろうと思われる木を選び、切り倒して、樹高を計ります。また、年輪を数えて林齢を調べます。
・これもついでに生枝下高も計っておきましょう。 
   「現況調査票」はこちら     「直径巻尺の作り方」はこちら 
     
12時00分 昼食 
12時50分 調査の続き ― 調査から施行方針の策定へ。
採取したデータを「森林診断書」にまとめ、現状を知り、今後の施行の方針を決めることになります。一番大事なことは将来的にどんな森林にしてゆくか!を考え、決めること。
一度決めたら、コロコロと変えないことが重要です。
現在の樹高と林齢が判ると、「受講成長曲線」から将来の樹高が判ります。
樹高と本数が判ると、「密度管理図」から過密なのか適当なのかがわかります。
この二つのグラフを使うことで、将来の密度がわかります。
施業エリア内で何本切ったら今の密度がどれくらいになって、10年後の密度はいくらになって、ということが判ります。
次の間伐を何年後にやるか、によって今何本伐ればよいかが判断できるということになります。
「受講成長曲線」はこちら     「密度管理図」はこちら     「森林診断書」はこちら
伐る本数が決まれば、次は伐る木を決めます。
頭の折れた木、曲がった木、傷の有る木、樹高の低い木、細い木など将来的に良い木にならないと思われる木を選びます。
良い木、今売れる木を選んで伐採するというやり方もありますが、今回はいわゆる劣勢木を選びます。
15時00分 受け口練習 ― 再び、受け口作りの復習。
頭を使ったので、朝からのチェーンソーの感覚が鈍ったかもしれません。忘れないうちに復習をしておきましょう。

受け口は水平に。
会合線はしっかりあわせ、倒す方向へ直角に。
ツルはしっかり残して左右の大きさは等しく。
家に帰ったら、念仏のように唱えましょう。
16時00分 次回の説明の後、解散

初めて触れたチェーンソー、如何でしたか?今まで使っていたチェーンソー、何か違いに気づくことはありましたか?
森林の手入れに必要なことは「密度管理」。その方法は思ったより簡単。でも、一度聞いただけでは覚えられないかもしれません。自分で調べ、判らないことは聞いてみる。「いまさら聞けない」なんてことはありませんので、いつでも遠慮なく聞いてみてください。

次回は、いよいよ「伐倒」、立ち木を倒します。そして「目立て」切れ味の変化を感じてください。